アメリカで知らない親戚が死んで、その遺産が17億。自分がその相続人に指名されているらしい。

※登場人物は仮名です。
一応自分はフェイスブックをやっているのですが、先日ある女の人から友達申請が来ました。その人はフェイスブックを見るとアメリカで弁護士をやっているとのこと。顔写真も載っていましたし、事業所名も掲載されていましたので、申請はOKしました。

それからしばらくするとその人からメッセージです。日本語です。一行メールなのでこちらも簡単な返事を返しました。

「リクエスト承認ありがとう。」
「はい、こちらこそありがとうございます。」

2-3日経って

「よろしくお願いします。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

それからまた2-3日経って

「素敵な出会い。」
「ありがとうございます。」

それからまた2-3日経って

「今日の日本の天気はどうですか。」
「はい晴れています。」

といった、どうでもいいような一行の会話を2週間くらい続けました。

その後、こういうメッセージです。
「あなたは英語が理解できますか。」

と言うので
「いえ、私は英語があまり分かりません。」

と返事をしましたら、次に長文の英文メールが来ました。「英語があまり分かりません」と返事をしたにも関わらずです。

その長文の英語メールをGoogle翻訳にかけてみましたらこういう内容でした。
―――――――――――――――――
私はアメリカで弁護士をしているスズキ フミコ(仮名)といいます。

アメリカのカリフォルニア州で山下弘(仮名)という人が交通事故で亡くなりました。その人はあなたの親戚です。

その人はアメリカのエクソンモバイル社に勤めていた人でした。彼の遺産は日本円にして17億円あります。

私はその人の遺産相続を全面的に任されている弁護士です。

その人の遺言状には、あなたが遺産の受取人として指名されています。

その遺産があなたの口座に振り込まれる前に、あなたはロスアンジェルスCAの銀行支店に行って外国為替銀行口座を開き、必要な書類に署名する必要があります。

銀行口座はあなたの名前で開く必要があります。

必要な文書はすべて整っており、それ以降の文書は全て、アメリカ合衆国の国際法を理解している弁護士の私によって作成されます。

また、あなたは銀行のマネジャーに連絡しなければなりません。

そして詐欺師があなたの背後からアドバイスするのを避けるために、あなたはこの秘密を守らなければなりません。

銀行の管理者に連絡する時は死亡証明書を添付して下さい。これらの手続きが終わった後、私はあなたに会う時間を設けます。

(銀行マネージャーのメールアドレスと名前が記載)
―――――――――――――――――

そして、死亡証明書と遺言状をスキャンした画像が添付されていました。

画像ファイルでは翻訳サイトにかけられませんので、遺言状の方を、自分で文章を全部打ち直してグーグル翻訳にかけてみると

「私の死去の際、私は1963年7月1日に〇〇の〇〇市で生まれた私の執行者である山下浩一に、私の財産と効果の全てを渡します。」

と書かれてありました。
※山下浩一というのは、私の名前(仮名)です。

私の住んでいる県名、市町村、誕生日、山下浩一という名前も全部合っています。それが遺言状に書かれていたのです。

自分は、その山下弘という親戚の人は全く知りません。アメリカに親戚がいるなど聞いたこともありません。

ですがもし本当にそういう人がいたとしたら、と思いまして一応両親に聞いてみましたが、父も母も知らないと言います。

ですがもし、この話が本当だったら、17億もらったらすぐに会社を辞めて引きこもりになるでしょう。

家を建てて超高級車を買って後は旅行三昧です。時間があるので後は英会話とかジムのトレーニングに毎日行きます。
金を莫大(ばくだい)持っている、引きこもりが自分の理想です。

しかしこんなうまい話があるわけがありません。

突っ込みどころがいくつもあります。

まず、遺言状に書かれていた住んでいる市と誕生日、本名ですが、これは自分でフェイスブックの「基本データ」の欄に書いてあることです。ここを見ればそんなことはすぐに分かります。

それとやり取りでの展開。

最初はフェイスブックの友達申請が来たことから始まり、初めましてとか日本の天気はどうですかとか、素敵な出会いなど、しょうもない一行メールのやり取りが2週間くらい続いてから遺産の話が始まりました。

遺産相続などの重要な話であれば、そして仕事でやっているのであれば、一回目のメールからその話を切り出すべきでしょう。

最初のうちはいかにも、メールの返事を返す人間かどうか探(さぐ)りを入れているかのようです。こっちが毎回返事を返していたものだから、こういう展開に持っていった、という感じがありありとします。

それと弁護士事務所のアドレスがGmailになっていました。

Gmailはグーグルのサービスでフリー(無料)のメールアドレスです。ネット上の自分専用のメールボックスにメールが届くので、パソコンでも携帯でもメールが見れます。すごく便利なので自分も使っています。

ですがその反面、個人で何十個でも作ることができて、不要になったらすぐにアカウントを削除できるので、使い捨てのアドレスとして使う人も多いシステムです。

これはGmailだけではなく、Yahoo!メールもそうですが、フリーのメールアドレスは個人が使うのが圧倒的に多く、企業や組織がフリーメールアドレスを代表アドレスとして使っているのはあまりないでしょう。

また、17億もの金を振り込みます、というわりには本人確認がずさんです。

普通に考えれば、戸籍謄本とか免許証とか保険証、パスポートなど、色んな身分証明書を提出させて本人確認を行いそうなものですが、本人を確定した要素が、自分がフェイスブックに書いていた住所と生年月日と名前だけです。

この3つだけで、あなたが17億円の相続人ですと断定するわけがありません。

どうにも怪しいので、似たような事例がないかネットで調べてみました。「アメリカ遺産相続メール」というキーワードでGoogle検索をかけてみましたらまさにドンピシャのサイトが出てきました。

「海外情報メール掲載板」の中の
「遺産相続を名目とした国際的詐欺」のページです。

また、このサイトの文末の方に

外務省海外安全ホームページ「海外邦人事件簿」が紹介されていました。

http://www.anzen.mofa.go.jp/jikenbo/jiken_index.html

その中でも特にここがまさにぴったりの事例です。

海外邦人事件簿|Vol.47 おいしいメールと国際詐欺
https://www.anzen.mofa.go.jp/jikenbo/jikenbo47.html

要するに、このままメールでのやり取りを続けていると次の展開は、

遺産を現金化するために手付け金が必要になってくるとか、あるいは海外送金のために手数料がかかります、また、現地の政府に納める税金などが必要になってきます、その経費を先に払って下さい、という展開になるようです。

その経費とは大体、数百万円です。

そして経費を振り込んだら、それ以降の連絡は途絶え、それで一件終了となります。

実際に払った人もいるそうです。確かに、仮に経費が500万かかると言われても、その話を信じている人だったら、500万払っても17億振り込まれるなら、借金してでも500万円振り込むでしょう。

こういった詐欺の事例は何年も前からあるらしいのですが、初めて遭遇した人だったら、いくら昔からあったといっても分かりません。信じる人もいます。

こんなうまい話があるわけがない、と一旦疑って、ネットで調べてみるという心がけをもっているだけで、その後の展開も大きく違ってくると思います。

自分もこの20年で様々な誘導メールや詐欺メールが来ましたが、ネットで調べてみると、大体の場合、同じ経験をした人がブログなどにアップしてくれています。それらで随分と助かってます。

一応相手には、

「その人は私の知らない人ですので、私はそのお金を受け取ることは出来ません。

また、私は最初に請求されるであろう高額の手数料を払うことは出来ません。私はお金がありません。その遺産はあなたが適当に処分しておいて下さい。」

という返事を英語に翻訳してしておきました。

初めて申請が来てから3週間くらいにやりとりしましたが、何とか解明できて、やれやれです。
一応これ以降は連絡が来ても返事はしない予定です。

ちなみに先ほどその人のフェイスブックを見ましたら、あの時は日本人の写真で奈良県出身、アメリカ在住の弁護士だったものが、今ではアテネ出身、イエメン在住の学生になっており、外国人の写真になって顔も全然違ってます。
顔が変わってた上に、人種まで変わってました。

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