リンチの相談をする女子高生。

ちょっとした顔見知りの、見るからにヤンキーのような16歳の女の子がいる。たまたま乗せて、お客として知りあったのだが、自分を携帯で時々呼んでくれる。

その日も夜の0時くらいにそのコから電話がかかってきた。

「今、ローソンの前にいるから迎えに来て」

ということだったので、すぐに迎えにいった。すると今日はお友達と一緒で、そのコを含めて全部で3人の女の子が立っていた。多分全員同じ年だろう。
3人が乗ってきて出発すると、

「とりあえずまっすぐ行って下さい。ゆっくり走って。」

と言う。まっすぐにゆっくりと走っていると、後ろの座席で3人が外を見ながらいろいろと喋っている。

「まだそんなに遠くに行ってないはずよね。」
「帰るんだったら、絶対この道通るはず。」
「あいつ、歩いて帰ったんでしょ? 私らが追い越しちゃうんじゃない?」

どうやら、『先に歩いて帰ったであろう、ある人物』をタクシーの中から探しているのだ。そのコを追いかけているらしい。

更に会話が続く。

「私、もう、マジでキレたけんね。絶対許さんから。」
「見つけたらどうする?」
「顔面ブチ殴る。」

などという会話をしていたので、一応顔見知りということもあって
「何かあったんですか?」
と聞いてみた。

「そいつに裏切られたんですよ! 根も葉もない悪口言いふらされて!」

と、相当怒っている様子だった。

また3人で相談が始まった。

「見つけたら車に連れこむ?」
「うん、とりあえずこの車に突っ込んで、美香ちゃんちに連れて行こう。そこでフクロにすればいいじゃん。」

「そうそう、顔に傷くらいつけないと気がしまないしね!」

なんかモロにリンチの相談をしている。ひょっとしてその自分が、その手伝いをするハメになってしまうのか?

自分には関係のないこととはいえ、ちょっと気になる。

そう言いながらも車はゆっくりと進んでいったが、そのお目当てのコはなかなか見つからない。右・左と道案内されるままに走らせていると、とうとうその『お目当ての女の子』の家の前まで着いてしまった。

「私らの方があいつの家に先に着いちゃったんじゃない?」
「ここでちょっと待ってみようか。」

ということになり、しばらくその家の前で待つことになった。が、ものの5分もしないうちに後ろの座席の女の子の1人が

「あっ!帰ってきた!」と叫んだ。探していたそのコを、ついに家の前で発見したのだ。

すぐに3人とも車外へ飛びだしてそのコめがけて走って行った。

「てめーっ! コラーッ! ブッ殺すぞ、お前!」
「ちょっとこっち来い! てめーっ!」

深夜の住宅街に怒鳴り声が響く。とても16歳の女の子たちの言葉とは思えなかったが。

次の瞬間「あっ!逃げた!」「待て、コラ!」という叫びと走る音が聞こえ、そのまま誰もいなくなってしまった。

そのまま待つこと10分。また携帯が鳴った。出るとさっき追いかけて行った、あの女の子からだ。

「あいつ見失ったので、また迎えにきてもらえますか? 今、セブンイレブンの前にいます。」
「はい、分かりました。」

そういうことでとり逃がしたらしい。ちょっとほっとした。

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