寄生虫を使って難病の治療をする研究がスタート

「自己免疫疾患」と呼ばれる病気がいくつかあります。自己免疫疾患とは、体内の免疫システムが異常をきたして起こってしまう病気です。

人間の体内には、細菌やウイルスなどの異物が体内に侵入して来た場合、これらを攻撃して体を守る免疫システムというものが備わっています。ですが、この免疫システムが異常をきたして、本来攻撃すべき外部の異物ではなく、自分自身の細胞を攻撃してしまうことがあります。

この現象によって引き起こされるのが自己免疫疾患で 、難病指定されているクローン病や潰瘍性大腸炎などの腸の病気や、皮膚が赤くなったり剥がれ落ちたりする乾癬(かんせん)、あるいは多発性硬化症などがこれに相当します。

国内のクローン病患者は2014年時点で約4万人、潰瘍性大腸炎の患者は約17万人と言われており、両者とも30年前より18倍以上増加しています。

寄生虫を使って病気の治療を行うというシステムは、患者さんの腸の中に寄生虫を入れることにより、これまで自分を攻撃していた免疫システムの攻撃の対象を、自分から寄生虫に変えるというのが狙いです。

このことにより病気の症状が改善されるのではないかと期待が持たれています 。

この研究を行うのは東京慈恵会医科大のグループです。研究に使われるのは豚やイノシシなどに寄生する豚鞭虫(ぶたべんちゅう)と呼ばれる寄生虫です。

日本では聞きなれない言葉ですがタイでは豚鞭虫の卵の入ったサプリメントが市販されておりこれを成人男性に飲んでもらい、約2ヶ月かに渡って血液や便を調べ兵庫県福井県ます。

卵の大きさは50から60マイクロメートルでラグビーボールのような形をしており、このサプリメントの瓶の中には極小の卵が500個から2500個入っており一本19000円くらいで販売されています。

アメリカでは医師の処方箋があれば購入でき、ドイツでも2019年の年内に食品として認可される見通しです。

豚鞭虫(ぶたべんちゅう)が寄生した豚は、下痢の症状が出て肉質も落ちますが、豚鞭虫(ぶたべんちゅう)は、人間の体内では定着できないため、2週間で便とともに自然に排出されます。

寄生虫を飲んでもらうのは、成人男性12人の予定です。女性は妊娠への影響が未知数なため、含まれていません。

▼清潔な環境が現代人の病気を増やした可能性も

今の50代以上の人であれば覚えているかも知れませんが、昔は虫下(むしくだ)しと呼ばれるものを飲んだり、小学校の指導で、肛門にセロハンのようなものを貼って寄生虫の検査をしたりといったようなことがありました。

文部科学省の調査によりますと、1950年の検査では小学生の63%で寄生虫の卵が見つかりましたが、2015年ではわずかに0.12%となっていました。
日本国内では寄生虫はほとんど絶滅したため、この年をもって寄生虫の卵の検査は廃止されました。

もちろんそれは素晴らしいことなのですが、その反面、人類が誕生した時から人間の体の中にいた寄生虫が、この近年で一気に日本国内で絶滅したことにより、かえって体が虚弱になり、体内のシステムがおかしくなってしまったのではないかという意見もあります。

2018年、北朝鮮の兵士が韓国に亡命しようと、軍事境界線を走って越え、韓国側に逃げた時、北朝鮮軍から銃撃を受けて瀕死の重傷を負って倒れたことがありました。その時、韓国の病院で手術を受けた際に、その兵士の腸の中から、大量の回虫か発見されたと報道されたことがありました。

もちろん、腸内の回虫は、北朝鮮のことだけではなく、昔の日本人の中にもいましたし、現在の発展途上国の人々の中にも普通にいます。

回虫が体内にいるからといって、次から次へと死者が出ているわけでもなく、人間は回虫と共存しています。

不潔過ぎるのは当然よくないことですが、逆に清潔すぎるのも、体内の免疫力、すなわち病原菌やウイルスに対する抵抗力を弱めることになるのではないかとも言われています。

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