複雑怪奇な無線配車の順番。
お客さんからタクシー会社に電話があると無線室が電話を受けて1台を指定してそのお客さんをお迎えに行かせます。
無線室のパソコンにはタクシーの配車アプリというものがインストールされていまして、これで「おまかせ」というボタンを押すと迎えに行く地点から一番近い車をパソコンが選んで、その車に指示がいきます。
一番早く行ける車に指示を出すというのは当然のことですね。ですが全ての電話においていつもすぐ行ける車がたまたま近くにいるというわけではありません。中には2kmも3kmも離れている車が一番近いという場合もあります。
そして常にパソコンの指示に従って運転手が皆、その指示の通りに動くわけではありません。
「あそこには行きたくない、ここには行きたくない。」と、自分の希望というかワガママを無線室に言っている運転手が非常に多くいます。
例えば
・2kmも3kmも遠いところには迎えに行きたくない。(面倒くさいので)
・時間指定は行きたくない。(時間を指定されるとその数分前には現場に言っておかなくてはなりませんし、時間通り出てくる人は少ないので随分と待たされることになります。)
・あの店は嫌いだから行きたくない
・あの店はビルの2階にあるので階段を上るのがしんどいから行きたくない。
・(昼間勤務の者で朝5時頃出勤してくる運転手は)飲み屋には行きたくない。(昼間勤務のものは夜の店に行くのを極端に嫌う人が非常に多くいます。)
・運転手からの依頼は行きたくない(馴染みのお客さんから携帯に直接電話がある運転手も多数います。そういった場合その運転手もお客さんを乗せていたら迎えに行くことはできませんから、その時は無線室に連絡して代わりの車を頼むことになります。そうした運転手からの依頼は運転手の下請けをするようで腹が立つので行きたくないということです。こういった場合、画面の指示に迎えに行く行き先と、〇〇乗務員からの依頼、という風に表示されます。それがすごく嫌だと言うのです。)
・二台口、三台口の時、あの運転手と一緒の組み合わせにはするな。
お客さんの依頼によって2台とか3台を一度に頼むことがあります。そうした時に嫌いな運転士と一緒の組み合わせで行かせるなということです。
かなりの数の運転手が行きたくないところや場合を無線室に申請しているみたいです。
無線室の方もそれを全部覚えているのですごいです。
ですからお客さんから電話があった場合、ここに迎えに行くから「一番近いこの車」と単純に決められません。パソコンに任せておけば自動的に一番近い車を選んで指示を飛ばしてくれるのですが、あれこれと行きたくないと言っている車が多いので手動で車を指定することが非常に多いようです。
あれは行かないこれは行かないと何箇所も行っている運転手もいますが、その逆に全く何も言わずにどこに当てられても黙っていく運転手もいます。
こういった存在は無線室にとって非常にありがたいようです。
そうした黙っていく運転手の方が無線配車の方が圧倒的に数多く回ってきて、売上ももちろん、そうした運転手の方がずいぶんと上がっています。
自分も行きたくないところや嫌いな店はいくつもありますが、無線の順番で当たったらしょうがないから文句を言わずに行ってます。