年末のタクシー。空車がいても、電話をかけると「空車がいません」と断られる。

タクシーには無線配車というものがあります。お客さんから会社に電話がかかってきた場合、無線室が電話を受けて車を指定してお客さんを迎えに行かせることを言います。

指定される車は会社のルールにのっとった順番だったりパソコンが自動的に選んだ一番近い車だったりします。

うちの会社の場合、売上の7割がこの無線配車です。残りの3割が街での拾いとなります。

無線を受けた車はこんな感じでナビの画面に迎えに行く先が文字で表示されます。

それでこの無線配車ですが、全員がいつも受けられる体制にいるわけではありません。食事をするために車から降りている時とか、トイレに行く時など車から離れる時には無線室から指示が来ても「了解」のボタンを押せませんから、そういった時には無線が来ないように無線を拒否するボタンを押しておきます。

また、自分の携帯に個人的にかかってきたお客さんから
「〇時に迎えに来てくれ。」
といった要請があった場合にも、その30分ぐらい前から無線を拒否するボタンを押して誰も乗せないようにしておきます。
うかつに無線を受けて、直前に長距離にでも当たったりしたら間に合わなくなってしまうからです。

この無線を拒否するボタンは、基本的にこういった形で短時間の間だけ使うものですが、年末の飲み屋街のように街にお客さんが溢(あふ)れている日になると、自分の勤務時間の最初から最後までこの無線を拒否するボタンを押している運転手が多数発生します。

無線を受けて迎えに行くと大体待たされるので、それを嫌がるのです。

無線配車を受けるとまずお客さんを店まで迎えに行かなければなりませんし、その上で5分から10分くらい待たされてようやくお客さんが乗るようでは随分と時間を取られます。

普段の暇な時だったらこういった無線配車も積極的に受けますが、年末の飲み屋街のようにお客さんが溢れていると断然拾った方が早いです。飲み屋街に帰って来ればすぐに手が上がります。

いちいち向けて迎えに行って待たされるなんてことはやってられません。面倒くさいし時間がかかります。

ですが他の車はともかくとして、自分は年末でも全部会社の無線は受けていました。時間がかかるのは分かっていますが、多くの車が無線を拒否したら無線室が困りますので無線室に迷惑はかけたくなかったからです。

12月の29日はコロナも関係ないかのように飲み屋街はすごい人出でした。自分はいつも通り19時から出勤して朝の7時まで勤務する予定でした。

それで夜中の1時半ぐらいに、自分のいる隣の市で空車になったのですが、空車のボタンを押した途端に無線室から次の指示が画面に表示されました。

てっきりこの近くの家に迎えに行くのだろうと思ったら、これから自分が帰ろうとしている繁華街の飲み屋の一軒でした。ここから戻ったら結構飛ばしても15分ぐらいかかります。

すぐに無線室から音声で言われました。

「そんなに遠くから行ってもらってすいません。〇〇地区の担当の車、20台いるんですが、〇〇さん(私の名前)以外、全部の車が無線を拒否していて、行ってくれる車がいないんですよ。お客さんには所要時間を伝えてますのでそこから行ってもらえませんか。」

ということでした。

年末のように飲み屋街にお客さんがあふれているような日は、おそらく無線をずっと拒否している車が多いだろうということは大体想像がつきましたが、それが自分以外全員だったということを知ってびっくりしました。

もちろんこの時点まで何回も会社の無線は受けてきましたが、夜の担当者で今日無線を受けていたのは自分1台だけだったとは驚きです。

待っていたのは飲み屋のママさんでしたが、自分が行った時にはそれまで相当待たされていたのか、かなり怒った顔をしてましたね。文句は言われませんでしたのでほっとしました。

そして翌日の12月30日。
この日も同じく夜の勤務です。夜中の1:45ごろ、市内からかなり遠い所で空車になりましたら、すぐに無線室から携帯に電話がありました。

「すいません、3:00に時間受けがあるんですが、頼んでもよろしいでしょうか?○○さん以外、全部の車が無線拒否してて、配車が全く出来ない状況なんですよ。

3:00前になっても多分空車は一台も出ないと思うので、あと1時間以上ありますが、頼んでもおいてもいいですか?」

と言うので、「了解しました。」と言って引き受けました。また今日もかい。。

市内に帰って来ましたが、3:00までにはあと50分くらいあります。下手に誰か乗せて長距離に当たってしまってはいけませんので、人が来ないような所に車を停めて50分待つことにしました。
その間、他の人は次々売上を上げているんでしょうが、損な役目を引き受けてしまいました。

ようやく3:00になり、その一件が終了しました。2300円くらいだったので、そこまで悪いものではありませんでしたが、こういう日に50分費やしたのは結構損した感じです。

やっと終わってやれやれと思っていたらまた無線室から連絡がありました。
「すいません、4:00にも一件あるんですが、それも頼んでもいいですか?他に誰もいないんですよ。」

と言うので、結局また引き受けて今度は40分待ちました。
こちらは1500円くらいでした。

無線室には普段からお世話になっていますので、頼まれれば引き受けますが、随分と時間を使いました。この日の自分の売り上げは多分、全体の中では下の方だったでしょう。

ちなみに無線を受ける車が全くいない場合、無線室はお客さんからかかってきた電話は全て断ります。無線室に日報を出しに行った時に見たことがありますが

「すいません、今、空車が全くいませんので。。」
「何分かかるかと言われても、ちょっと予測が出来ません。。」
「すいません、他の会社に頼まれた方いいかと思います。。」

こんな感じで断ります。

タクシーとすれば、乗っているお客さんが降りればその車は空車になりますが、無線拒否をしていればその車は使えませんので無線室からみれば空車ではありません。

ですから街中には空車のランプをつけた車が何台も走っているのに、その会社に電話をかけて頼もうとすると「空車がいません。」と言われて断られるということになります。

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